2002年6月、滋賀県知事選の頃に国政で有事法制が議論されていた関係で、依頼を受けて七尾より寄稿したものです。

自治体側から提言を

先進民主主義国家における有事法制とは、不測の事態に民主的システムで対応するためのものです。有事にあっても思想・言論の自由を保障し、財産権などの私的権利を守り、損害を補償するよう定めるものです。

戦後の日本は中央集権と官優位の体制で、復興と高度成長を達成しました。しかしこれからは、地方分権と自立した個人による成熟した市民社会が求められます。一方で、中小国間の紛争、大規模テロ、大量難民、不審船など、「有事」の概念は大きく変化し、高度情報社会には脆弱(ぜいじゃく)な面もあります。現状に即した対応策が必要なのです。

地方分権では、政治組織として地方自治体が重要な役割を担います。地方自治が自立した健全なものになるには、地方分権が段階的に進められるのと平行して、「万が一」を想定したシステムが一歩一歩整備されるべきです。地方自治の確立と、有事の際の体制作りは表裏一体で、地方自治体の側からこそ、有事のあり方を主体的に考え、提言するべきとも考えます。

有事法制は民主国家が民主制のもとで自らを守るために不可欠な手だてと考えますが、冷静に論議されるべきであり、国民全体が参加して議論を尽くすことが大切です。一内閣や一国会のみの論議で、拙速のあやまちを犯してはなりません。

[2002年6月28日付毎日新聞より許可を得て転載]


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