書評


99年2月7日付 日本経済新聞

中国の暴発を防ぐ安全保障は、日本が活力ある経済/社会を維持し、魅力ある市場を保証し、かつヒト、モノ、カネを提供し続けること。政治経済の両者が機能不全の日本再生に向け、外交官生活から得た打開策を提唱。多様性に寛大になれ、ディベートを盛んに、という総論から始まり、町村レベル、個人レベルの自己改革を主張。草の根単位の動きに注目する視点が新鮮……という趣旨で紹介された。


プレジデント 1999年2月号

著者は、昨年サンフランシスコ総領事のポストを最後に、32年間勤めた外務省を中途退官。理由は「官僚の時代は終わった」から。「均質的同族社会」が日本を硬直化させてしまった今、一人一人の改造こそが日本再生への道であると説く。そして今やるべきことは、批判し合うことではなく、個人が自力で考え、行動することであると。国内外の興味深いエピソードを交えながら、民主主義や市民社会といったテーマを身近な言葉で読者とともに考える。


ジェトロセンサー 1999年3月号

日本の良さと欠点は外国から眺めるとよく分かるが本書は、つい最近まで外交官として第一線で活躍した著者が国際的視野で日本の現状を分析し、このままでは日本はじり貧に向かうとの危機感から、再生への方途を提言したものである。著者は、日本社会を特徴付けるヨコ(均質、同族的閉鎖性)とタテ(権威臣従)のくびきを打破し日本人各人が自律自尊の「個」を確立すれば、多様化した真の市民社会が可能となり、日本は再活性化すると主張する。ルネッサンス(再生)とは旧来の桎梏(しっこく)からの個人の開放だが、著者は、混迷する日本にもそれを可能にする萌芽が見られるとして、冷戦の束縛からの開放、経済の熟成とゆとり、若者や女性のボランティア活動、町や村の自主管理による住民投票などの動きに注目すべきだと言う。これらの動きを加速し各人が自己改造に励めば国全体のルネッサンスに連なり「平成の市民革命」も決して夢ではないと言う。 また著者は、仏教の移入から明治維新まで日本社会が多様化により活性化した成功事例が多いことを指摘し、われわれ日本人は「今度」もできるはずだと強調する。しかもそれは米国の一面であるあのギスギス、カサカサの市民社会ではなく、世界に誇れる日本モデルが可能だとする。日本の経済界の改革に最も期待が寄せられているのも心強い。 著者は、政党、役所、企業、メディアが官僚化したとして日本の現状を厳しく分析しているが、単に危機意識をあおるのではなく、それを出発点として起こすべき行動は何かを説くとともに、類書にありがちなマクロ論に終わらず個人というミクロまで掘り下げているのが本書の特色である。 本書には豊富な外国体験を持つ著者の祖国日本への熱き思いが脈打っており、まさに読む者一人ひとりに改革への意欲をわき起こすに違いない。(望月 敏夫/日本貿易振興会理事)


月刊もん 1999年3月号

七尾氏はサンフランシスコの総領事のポストを最後に、外務省を中途退官した。なぜやめたか、の答えは「官僚の時代」が終わったから、だそうだ。「この日本を、どうたて直すか」、外交官生活の体験を生かし、諸外国の例証を挙げ、七尾氏の述べることは「われわれ自身、ひとりひとりの改造である」。市民的義務つまり「国が何をしてくれるかを期待するのではなく、国に対し自分は何ができるか」を考える時だという。自分の身近な地域に関心をよせることから、日本改革は可能であろうという指摘など、各自の自治精神を高めるための参考書としたい。


ひとりひとりのルネッサンス

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